曹操の真の姿 5(品三国/閲読中国史) | 中文系.com

曹操の真の姿 5(品三国/閲読中国史)

しかし、『三国志演義』でここが大きく変わった。「悲しみ悼む」という心情がなくなり、「寧我負人,毋人負我」(「我 人に背くとも、人 我に背くなかれ」)も「寧教我負天下人,休教天下人負我」(我 天下の人に背くとも、天下の人 我に背かせまじ)に変わっている。 何が違うのか?前者の文は、自分が人に対してすまないことをしても、人が自分に対してすまないことをしてはならないということである。ここでいう「人」(他者)とは特定の人、つまり呂伯奢一家を指す「個別の人」である。後者の文では、天下の人々、つまり「すべての人」を指している。範囲が大きく異っている。どちらも悪ではあるのだが、その程度、重さが異なる。これが第一のポイントである。

第二のポイントは、曹操の「寧我負人,毋人負我」(「我 人に背くとも、人 我に背くなかれ」)という言葉は、事実そのものについて論じているに過ぎないということだ。つまり、誤って殺してしまい、それはすまないことをした。しかし、それもやむを得ない事情があってのこと。窮地に陥っている今、自分が人に対してすまないことをしても、人が自分に対してすまないことをさせる訳にはいかない、ということである。そこにはまだ彼の良心の片鱗が残されていると言えるだろう。 しかし、「寧教我負天下人,休教天下人負我」(我 天下の人に背くとも、天下の人 我に背かせまじ)となれば、個別の事情ではなく、一貫した思想へと変貌する。大奸賊である。従って、この件だけで曹操が悪辣で腹黒いと断定することは疑問である。

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