・コロナ対策においてこれまで中国はうまくいっていた。しかし、ここへ来て急激に感染が拡大している。しかし、中国政府はゼロコロナ政策を堅持しており、上海をはじめとして各大都市でロックダウンが発生している。PMI(購買担当者景気指数)は48まで低下しており、生産活動が鈍化していることを示している。
・ロシア・ウクライナ戦争の影響でエネルギーが不足し、値上げが起こっている。
・ING銀行によると、上海市のロックダウンが4月末まで継続した場合、中国のGDPは2%低下するという。広州といった他の都市でもロックダウンが始まれば、さらに低下するだろう。
・これを受け、中国の各部門は対策を発表している。金利引き下げ、預金準備率引き下げ、量的緩和といった金融政策である。
・しかしこれら金融政策が機能するかは疑問。
・3月のCPI(消費者物価指数)は前年度比1.5%増だった。これは米国の8.5%と比べて非常に低い。PPI(生産者物価指数)は8.3%増だった。つまり、生産者の卸売価格は8.3%値上げであるが、消費者が購入する際は1.5%の値上げに過ぎない。この差は誰が負担するのか?小売業者である。小売市場は疲弊し、収益は減速あるいは減少するだろう。
・米国債金利が引き上げられる一方、中国国債は金利を引き下げなければならない。基軸通貨であるドル建ての米国債と異なり、中国国債は為替リスクもある。さらに、ロシア・ウクライナに対する中国の立場が、欧米からの対中制裁につながるリスクもある。これにより、投資家は中国国債を売却、米国債を購入するようになり、人民元安となることが予想される。
・中国の投資環境は厳しい局面を迎えるだろう。
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