中国留学をするメリット | 中文系.com

中国留学をするメリット

中国語を学ぶ上で、中国留学をしたほうがいいのか気になりますよね。結論から言って、中国語を武器として中国ビジネス・事業に本気でコミットしたい方は中国留学しましょう。特にあなたがまだ20代であるなら、仕事は辞め、学生なら休学し、なんとしても1年の時間を捻出すべきです。
新型コロナの影響で海外渡航が難しい情勢となっていますが、今は収束を見据えて準備を進めておくことです。本稿では中国留学を検討しているあなたに有益な情報をシェアします。

私の留学略歴:就職氷河期時代末期、苦労して新卒入社した会社の仕事がつらく、3か月で逃げるように辞め、これからどうするか思案に暮れる。もともと中国に興味はあったため、本気で中国ビジネスにコミットするなら語学は必須と思い、中国留学することに決める。
留学先は中国大連にある東北財経大学。ネイティブでもなく、帰国子女でもなく、中国語にまったく縁のない環境で生まれ育ち、また何をやっても長続きしなかったが、社会人になってから中国語を始め、中国留学を経て旧HSK9級(高等)に合格。その後は翻訳・通訳の仕事を専業・副業で10年以上続けている。

中国留学をするメリット

中国語スキル

中国留学で上達する中国語スキル

語学の四技能(話す・聞く・読む・書く)のうち、話す・聞くを強化するなら中国留学は必須です。
日本の環境で生の中国語にどっぷり浸かる環境を整えることはほぼ不可能です。加えて、日本の語学学校等で教師が話す中国語は、よそ行きの上品なものであって、中国現地のリアルな会話とはまったく異質なものです。語学学校でかなり頑張った人でも、現地ではまったく会話にならず、ショックを受けることはよくあります。本当の意味で聞ける・話せるようになるには、リアルな中国語を朝から晩まで大量にインプットし、アウトプットし続ける必要があるのです。部屋(教室)にいる時だけ中国語、ではなく、部屋(自宅)から一歩外に出ればすべてが中国語という環境でなければ実現できないものです。

中国留学しても上達しない中国語スキル

一方、読む・書くの強化に関して中国留学はむしろ非効率です。
まず、これらは日本語で深く理解した方が効率がよいです。そしてこれらはいわゆる座学であり、独習時間が長く、中国でやる必要性はまったくありません。読む・書くは留学に行く前に集中して取り組み、現地での会話時間を最大化することです。その意味で、新型コロナの影響により当面は渡航が難しい今こそ、こうした座学をとことんやる良い時期です。
なお、日本語の乱れが指摘されているように、中国人でも中国語の誤用は少なくありません。彼らも言葉の使い方の良し悪しによって相手の教養の程度を推し量っています。その意味で、教科書をやり込んで正しい中国語を使うことができるようにしておくことは大切です。

中国人コミュニティへの足がかり

中国留学が本稿のテーマですので、語学力向上を第一のメリットとして上げたものの、実際は語学の先にある中国人との人間関係構築こそが最大の資産であり、これを目標とすべきです。そのためには中国人の人間関係を知り、中国人・中国社会に対するバイアスを知ることが肝要なのですが、中国留学を通じて現地で生活することはまさにその足がかりとなります。

中国人の人間関係

中国人はリアリストであり、合理的な思考でデジタル技術の導入・実装も実に迅速ですが、一方で中国人は人間関係・絆・コミュニティ・共同体といった最もアナログなものを極めて重視する人々でもあります。いまや中国人(華僑を含む)やユダヤ人が世界経済で大きな力を持っていますが、それは彼らが世界中にネットワークを張り巡らし、自分たちの所属するコミュニティに深くコミットしているからです。これを東京都立大学の宮台教授は下記のように解説しています:

中国人やユダヤ人は、血縁共同体の支援を受けて留学もするし、国際的なネットワークに乗り出していきます。その血縁のネットワークに埋め込まれ、したがって背負い、であるがゆえにリターンを返そうと思って死ぬほど頑張る。そうした強い動機付けをもっているんですよね。
こうした人間が強いのは、利他性をもっているからなんですよね。自分の仲間のためにリターンを返す。自分がへたれたら自分が損をするだけだけど、自分がへたれたら家族や仲間が困るとなると頑張るわけ。だから、グルーバル化に強いのは中国系とユダヤ系。
出典:「賢人論。」第21回(後編)宮台真司氏

中国人の人間関係は非常にシビアなものであり、絆の強弱によって対応がまったく異なる扱いを受けます。家族や友人のために便宜を図る一方、赤の他人は冷たく扱うということです。さらに、この絆の強さは相対的なものであって、友人と認識されていたとしても、より絆の強い友人と比較されれば、そちらが優先されるのが常です。中国ビジネスで失敗したという話の多くはこうした人間関係の距離感を見誤ったことに原因があるのです。
絆の最も強い状態、あらゆる利害関係から無縁となる絶対的な人間関係は「幇」(自己人)と呼ばれますが、これは中国人同士と言えどめったにあるものではありません。幇の絆はマフィアの掟に近いものであって、裏切りは死を意味し、掟のために法を破ることもいとわず、死なばもろともの世界です。家族でも幇の関係にまでは到達しないのが普通です(中国でも遺産相続で家族が揉めることはよくある)。
中国留学で現地で生活することで、中国人のこうした人間関係の距離感を知ることができるでしょう。

中国人の人間関係を知る参考書籍
中国人の人間関係については社会学者である故 小室直樹氏の『小室直樹の中国原論』がおすすめです。ビジネスからマフィアまで、幇(幇会)を中心とした中国人の人間関係をわかりやすく分析しています。

中国人・中国社会に対するバイアス

あなたの持つ中国人・中国社会のイメージはどのようなものでしょうか?恐らくそれは事実ではあるものの、1つの側面に過ぎません。こうしたバイアスのかかったイメージを頼りに中国・中国人全体を判断しようとするのは、日本人がよくやる失敗です。特にニュースやワイドショーのみを情報源にしていると、確実に見誤ります。現地で生活すれば、思ったよりも日本に対して冷静であったり、好意的であったり、無関心であったりする人(つまりニュース性がない)が多くいることはすぐに分かります。百聞は一見に如かず。中国留学で現地で生活することで、中国・中国人に対するバイアスを認識し、取り払うことができます
ちなみに駐在や現地採用等で中国に居住している日本人ビジネスパーソンの間では、中国歴の長さがその人の箔となり、信頼性・権威の裏付けになるという暗黙の了解があります。日本から赴任したばかりのお偉いさんよりも、現地生活歴の長い若者の意見のほうが信頼されます。それは現地で培われる肌感覚が中国を理解する上で重要であることを物語っています。多くの書籍を読んだ博学な人でも、現場経験がなければ相手にされないのです。

中国人コミュニティに入るには

さて、そんな中国人と人間関係を構築するには、実際に会い、食事をし、仕事や個人的な依頼、時には無理難題への対応等を通じて信頼を勝ち得ていくことです。建前だけで構築されたようなウェブ会議やメールの読み書きだけでは話にならない訳です。近道はありません。
中国人との人間関係構築において中国語、中国体験は極めて効果的な要素です。中国語を話せるということだけで相手の反応(こちらに対する関心・好意)は大きく変わります。さらに中国で暮らしていたということを知れば相手が抱く親近感がまったく違ってきます。信頼を得るためには懐に入っていかなければなりません。中国留学はその素晴らしい第一歩になるでしょう。

その他

クラスメートとの切磋琢磨

中国留学のメリットとしてクラスメートの存在が挙げられます。日本・韓国・ロシア・タイ・フランス・アメリカ等、中国語を学びに世界中から留学生が集まるわけですが、1つ1つの学校はやはり狭い世界ですので、親しく付き合うことになります。共通の目標を持った多国籍のクラスメートと切磋琢磨するという環境は日本での生活や仕事ではなかなか得られない、とても貴重な経験です。私はわずか1年の中国留学でしたが、その期間の思い出は今でも特別なものとして記憶されています。ただし、クラスメートとのお付き合いを重視しすぎて本末転倒にならないように注意しましょう。

旅行

留学生には夏休み・冬休みという1か月ほどの長期休暇があります。この時期に観光旅行で長期滞在するということも良いアイディアです。日本で仕事をしていると休みは1週間程度が限度ですので、このチャンスを逃すと次はいつ行けるかわかりません。興味があれば行っておくと良いでしょう。

中国留学のデメリット

留学費用・時間

欧米に比べればまだまだ格安と言える中国留学ですが、それでも留学中は基本的に無収入になりますので、貯金は減る一方です。留学する場所やライフスタイルによって費用は大きく異なりますが、概ね100万円~200万円は必要でしょう。
また、留学期間中は自分のすべての時間を中国語学習に費やすということです。時間こそが最大の資産という見地に立てば、人生の時間を戦略的に配分することはとても大事なことです。1年間あれば様々なことができます。世の中に様々なスキルがあるなか、英語でもなく、プログラミングでもなく、会計でもなく、あるいは世界旅行でもなく、自分は貴重な時間を中国語に費やすのだということの理由を明確に説明できるか、改めてよく考えておくことです。

収入の途絶

投資等で収入がある人は別ですが、留学中は基本的に無収入になります。しかしそれ以上にキャリアの中断に不安がある人も多いでしょう。転職は一般的になってきたとは言え、日本企業はまだまだ保守的ですので、特に新卒で入社した会社を辞める場合は非常に不安だと思います。しかし、その心配は杞憂に終わります。留学をした理由と結果を明確に語ることができればキャリアに傷がつくということはありません
テックの進化により変化がますます加速する現代、これからは環境適応能力が新たな評価軸として重視される時代です。1つの会社にずっと務められる保証などまったくない一方、新卒から十数年同じ会社にいたという人材を採用することに不安を感じるという企業は増えていくでしょう。そんな中、戦略的に留学という判断をし、行動し、海外という環境の大きく異るフィールドに適応してきた人材にマイナス点をつける企業はないと言えます。
中国語がわかり、かつ中国滞在経験がある人材というのは珍しくはありませんが、どこにでもいるわけでもありません。企業の規模にもよりますが、やはり希少なスキルとして重宝されますので、会社の中での競争から距離を置き、独自のポジションを得ることができる可能性も大きいです。キャリアにおいてもブルーオーシャン戦略を考えることは重要です。目先の逸失利益にとらわれてゆでガエルにならないよう、将来への投資や開拓は積極的にしていきましょう。最近は日本語を話すことのできる中国人社員も増えてきていますが、「中国語を話すことのできる日本人」というのは中国人とは異なる独自の価値を持っていることを知りましょう。
実体験としても、20代から30代半ばまで中国で働いていた私ですが、帰国後に日本企業への中途採用で入社することに問題なく、また入社後に考え方の違いで苦労するということもありませんでした。独自のポジションということで言えば、この点については経営陣からも頼りにされ、仕事を直接依頼されるということも少なくありません。

日中関係に翻弄される

国際政治における日中関係は悪化と改善を周期的に繰り返しています。残念ながら、悪化したタイミングでは理不尽な仕打ちを受けることもあります。しかし、あえてデモ隊がいるような場所で騒いだりしなければ実害があることはほとんどないですし、命の危険につながるような事件は考えられません。中国の警察力は強力なので安心してください。
とは言え、いわれのない誹謗中傷や小競り合いに巻き込まれれば、心に受けるダメージはあるでしょう。日本人であることを悟られたくないという緊張感はつらいものです。
私の体験を少し紹介しておきましょう。私は10年間の中国滞在中、日中関係が悪化した時期を二度経験しました。それは留学していた時のことです。留学生仲間(日本人・韓国人)と大学近くの焼肉屋さんで食事をしていたところ、ガラの悪そうな若者数人のグループが隣のテーブルに座りました。こちらに日本人がいることに気づくと、日本を侮辱するような表現のオンパレードで話が盛り上がり始めました。こちらに向かって声もかけてきます。この時は正直、怖いと思いました。その場にいても良いことがないと判断し、店を出ました。この経験は後にも引きずり、特に大衆食堂のような場所では自分が日本人であることが知られるということにある種の緊張感を持つようになりました。
とは言え、その程度の話です。殴られた訳でも何でもありません。そもそも中国人は一枚岩ではありません。プロパガンダを安易に信じるほど単純な人ばかりではありませんし、先述したように、人間関係のあり方からして、国籍などという枠組みよりも個人の人間関係が優先することは当然のようにあります。私自身、日中関係が悪化した時に中国の友人から気遣いや支援の申し出のメッセージを受け取ったことは1度や2度ではありません。結局、その後の中国の人々との交流を通じて、自分の中での中国観もできてくるに従い、是々非々で区別することができるようになりました。

まとめ:中国ビジネス・事業にコミットするなら中国留学は必須

以上、中国留学のメリット・デメリットについて説明してきました。中国語を武器として中国ビジネス・事業に本気でコミットしたい方にとってはメリットがデメリットを上回っていると感じられたのではないでしょうか。以下に本稿のポイントをまとめます。

・中国留学のメリットは中国語力向上・中国の理解・中国人コミュニティへの足がかり
・中国留学で中国語の「聞く・話す」力が伸びる
・中国語の「読む・書く」力は留学前に日本で日本語を通じてやっておく
・中国留学で中国人の人間関係・コミュニティへのコミットとその力を知ることができる
・中国留学で中国人・中国社会に対するバイアスを認識し、フラットに見ることができる
・中国留学で得られる中国語/中国生活経験は中国人コミュニティへの足がかりとして有効
・中国留学のデメリットは費用・時間・収入途絶・キャリア中断・日中関係の影響
・中国ビジネス・事業にコミットするなら中国留学はメリットがデメリットを上回っている

<補足>
学習計画をアドバイスしてほしい場合や、中国留学に興味があるが、大学に直接問い合わせるのは不安があるという場合、ご連絡いただければお手伝いします(ボランティアですよ)。その他何でもお気軽に質問してくださいね。

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