中国語翻訳の仕事入門(作業手順 編) | 中文系.com

中国語翻訳の仕事入門(作業手順 編)

翻訳はネット環境さえあれば世界中のどこでも仕事ができます。テレワークとの親和性が高い業務ですので、副業として中国語翻訳を始めてみたいという人も増えてきているようです。しかし、どうやって仕事を受注するのか?翻訳の具体的な作業手順は?報酬はどれくらい?翻訳ジャンルの選び方は?作業時間はどれくらいかかる?等々…疑問点も多いのではないでしょうか。そこで翻訳の仕事解説を不定期のシリーズとしてシェアしたいと思います。今回は翻訳の作業手順とその概要を紹介します(個別の訳出技術・事例はここでは対象としていません)。

■著者略歴:
ネイティブでもなく、帰国子女でもなく、中国語にまったく縁のない環境で生まれ育ち、また何をやっても長続きしなかったが、社会人になってから中国語を始め、中国留学を経て旧HSK9級(高等)に合格。その後は翻訳・通訳の仕事を専業(法人代表、フリーランス)・副業(会社員)で10年以上続けている。
■主な翻訳実績:
実務翻訳:金融商品約款・国際交流行事・契約書・マーケティング・リスク分析レポート等
出版翻訳:中国古典・オンラインゲーム・スマホアプリ等
通訳:公益財団法人の取材随行等

翻訳の作業手順

翻訳の作業手順は至ってシンプルで、下記の3ステップです:
1)下訳
2)翻訳
3)校正

下訳

下訳により全体を俯瞰する

下訳とは、精密な翻訳を行う前に、大まかな訳を作る作業です。これによって全体の構成を掴むことができます。下訳をつけず、最初から一筆入魂で集中して翻訳される方もいらっしゃるようですが、全体を俯瞰してからのほうが文脈を捉えやすいため、より良い表現や誤解に気づきやすく、結果として効率・品質ともに高くなると私自身は感じています。
ビジネス翻訳の仕事はとにかく大量の文章をスピーディー・高品質に訳すということが求められます。翻訳に限ったことではありませんが、こうした仕事術についてはなぜ、あなたの仕事は終わらないのか」(著:中島 聡 氏)が参考になります。「スタートダッシュで一気」に「まず作ってみる」ことが重要で、「ラストスパートは諸悪の根源」です。

機械翻訳を活用する

原稿はWORDやEXCELの形式が多いと思います(PDFの場合もあり)が、私はまずこれをオンラインの機械翻訳で全文翻訳します。機械翻訳といえばグーグル翻訳が有名ですが、私はDeepLを使用しています。不自然な訳や明らかな間違いも多いため、このまま使用できるような品質ではないのは当然なのですが、機械翻訳としてはかなり精度が上がっています。とにかくスピードが速く、数千字の原文をものの数秒で訳出するのは驚異的と言わざるを得ません。中国語の文章をざっと読むというだけならこれでも大意は取れるため、大量の論文・文献を当たり、精読するものを取捨選択するような調査・研究等のシーンでは特に有用です。なお、原文が説明書・マニュアルのように、わかりやすさ・正確を重視しているような文章だと翻訳の精度は上がります。(逆に口語やクリエイティブな分野は苦手)

翻訳

ここからが本番であり、翻訳者の実力が問われるところです。まず、原文と下訳とを比較し、誤りがあれば直し、正確な翻訳へ修正していきます。その上で、日本語としてこなれた表現へと研ぎ澄ませていきます。

正確な翻訳へ修正する

日本語の正確な意味、中国語の正確な意味については慎重に把握します。日本語は思い込みで誤解していることがあるので、曖昧だったり、気になったらしっかり調べてみることをおすすめします。
中国語の意味についてはグーグル検索やオンラインでの中日辞典、さらに「百度」のような中国語検索エンジンも活用します。特に、文学的で繊細な表現や、ゲーム用語・ネットスラング・流行語等は「百度」のような中国語検索エンジンの使用が必須です。これらは中国語でダイレクトに検索しなければ正確に意味を知ることは難しいです。
検索キーワードは「○○ + 日文」、「○○ + 日语」としたり、「○○ + 意思」、「○○ + 什么」等で検索します。場合によっては「○○ + 英文」、「○○ + 英语」として英語を介して探るということもあります。中日翻訳よりも中英翻訳の方が情報量が多いためです(日本でも英語の方が情報が多いのと同じです。やはり国際語としての英語の力は大きいです)。

翻訳を研ぎ澄ます

「日本語としてこなれた表現」と言っても、これはクライアントやジャンルによって求められるものが変わってきます。約款や公的文書・契約書等では正確さが第一ですので、原文一字一句の意図を漏れなく、誇張なく拾った上で、かつわかりやすい文章に仕上げる必要があります。このタイプのわかりやすい文章作成については日本語の作文技術」(著:本多 勝一 氏)が参考になります。
一方、文学やゲーム等ではクリエイティビティが重要ですので、語学はもちろん、日中双方の文化や作品の世界観に対する深い理解を土台とした高度な表現力が求められます。この領域では翻訳自体がもはや芸術と言えるまで昇華しているケースも少なくありません。その意味で、本当に難しいのはこちらなのですが、機械翻訳では代替し得ない、最後の聖域と言えます。

校正

下訳の修正、翻訳が完了したら、最後に校正です。誤訳・誤字脱字はもちろん、より良い表現を追求するステップです。
翻訳直後は冷静に確認できないことも多いため、少なくとも一晩寝かしてから校正作業を始めることをおすすめします。翻訳の仕事を請け負う時、つい限界まで引き受けてしまうことがありますが、上述のクールダウン期間も含め、校正の時間をしっかり取ることが品質につながり、ひいては翻訳会社やクライアントとの良好な関係を築くことにつながります。
それでも翻訳者が自身の翻訳作業により発生するバイアス(思い込み)を取り払うことは難しいため、本人による校正だけでなく、第三者による校正も行うことが理想的です。

終わりに

以上、翻訳の作業手順として、下訳、翻訳、校正について簡単に説明しました。
ざっくりした解説ですので、随時更新・加筆していきたいと思います。この記事が少しでも役に立ちましたら幸いです。知りたいこと等ありましたらお気軽にメッセージやコメントをください。

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